歯科矯正を考えられる中で、治療中の痛みを心配され、治療に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。カウンセリング時にも「どれくらい痛みが続くのですか?」「我慢できる痛みでしょうか?」と心配される方が多くいらっしゃいます。
今回は、実際どのような痛みが矯正治療中に起こるのかということをお話ししていきたいと思いますので、不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
矯正治療の痛みの原因とは?
矯正治療中に感じる痛みの原因には、①歯が動くことにより感じる痛みと、②矯正装置が唇や歯茎などの粘膜に当たり傷や口内炎になることで感じる痛みの大きく2つの場合があります。
▶歯が動くときに痛みが起きるのはなぜか?
歯は歯槽骨と呼ばれる骨の中に埋まっており、矯正治療で力を加えることで、この歯槽骨の中を歯が移動していきます。矯正力が加えられた部分は、骨が壊されることでスペースができます。そのスペースに向かって歯は移動していくのです。この骨を壊す細胞というのが、痛みの原因となる物質であるため、どうしても歯が動く際には痛みが生じてしまうのです。
痛みの期間としては、装置装着や、ワイヤー調整後の2~3時間後くらいから痛みを感じ始め、翌日がピークでその後は徐々に緩和され、1週間もすればほとんど感じなくなります。
個人差はありますが、歯の移動のメカニズム上、痛みを無くすことはできません。そのため、当院ではセルフライゲーションブラケットと呼ばれるワイヤーと装置との摩擦を少なくすることで痛みを軽減するブラケットを使用しています。
▶矯正装置が粘膜にあたって痛い場合
・ワイヤーが伸び出て痛い場合
歯が動き始めの時期は、歯のがたがたが改善されていくことにより、たるんで装着されていたワイヤーが、まっすぐになり、余ったワイヤーが奥歯の後ろから伸び出たりしてくることがよくあります。そのような場合には、来院していただきワイヤーを切ることで対応を行います。すぐに来院が難しい場合には、医療用のワックスやシリコンなどをご自身で使用して対応していただくようになります。
・装置そのものが当たって痛いとき
ブラケットやアタッチメントそのものが当たって痛い場合にも、医療用ワックスやシリコンで装置を覆うことで、粘膜への当たりを緩和することができます。
矯正治療に対する痛みに不安を持たれる方は多いと思います。個人差はありますが、実際に痛みを感じる方がほとんどではあります。しかし、耐えられないほどのものではありませんので、不安や痛みを感じる際には安心してご相談ください。