矯正治療の基礎知識

大人と子どもの矯正歯科治療の違い

difference
for Adult

大人の矯正治療(2期治療)

大人の矯正歯科治療とは、全ての歯が永久歯に萌え変わっている方(永久歯列期)の矯正歯科治療のことを言います。いわゆる表側矯正装置や裏側矯正装置などのワイヤー矯正装置や、マウスピース型矯正装置を使用する治療は、大人の矯正治療(2期治療)となります。
永久歯列における矯正歯科治療(2期治療)の目標は、以下の3つを達成することだと私は考えています。

1

見た目の改善

しっかりときれいな歯並びになっていること。

2

機能の改善

緊密な咬合状態と下顎の運動を阻害しない状態になっていること。

3

口元の改善

E-Line上に上下口唇があることや口元の緊張感、口の閉じにくさがないこと。

この3つは矯正歯科治療の治療目標として、一つも欠けてはいけないものであると考えています。ですので、口元は問題ないけれども、歯並びにデコボコがあり、しっかりと咬めていない状態であれば、矯正歯科治療の対象となりますし、歯並びがきれいで、しっかりと咬めているけれども、口元を患者さん本人が出ていると気にしており、またそのように検査結果において判断される場合は、矯正歯科治療の対象となります。

これらの3つの治療目標を達成することにより、きれいな歯並びが安定し、しっかりと咬合することができ、自然な口元が獲得することができます。また、歯並びがきれいになることで、歯磨きがやりやすくなり、清掃性が向上することにより虫歯や歯周病に罹患するリスクを低減することができます。それにより歯の寿命が延びることになります。歯並びを改善することは、歯自体の寿命に影響を及ぼすということになります。

for Child

子供の矯正歯科治療(1期治療)

乳歯が残っており永久歯に生え変わっていない状態を混合歯列期と呼びます。矯正治療の最終的なゴールは永久歯において、きれいに歯並びと緊密な咬合を得ることです。そのため乳歯をきれいに並べても治療のゴールではありません。
子どもの矯正歯科治療は、本人が持っている成長を最大限発揮できる状態に持っていくことを目的に治療を行います。歯並びに悪影響を与えていることを取り除く、反対に噛んでいる場合は正常な噛み合わせに戻す、歯列が狭い場合には歯列を広げるなどの治療を行います。
また、子どもの成長は個人差が大きいため、何歳になったら治療を始める、ということではなく、本人の成長に応じて治療を始めていきます。
また、基本的に1期治療のみで矯正治療が終わるという事はあまりありません。1期治療で終了できるパターンは限られたパターンになります。

よく、「今始めないと後で大変な事になる」というような内容を聞いて相談に来られる方もいらっしゃいますが、上記のような場合を除き、多くの歯並びのデコボコや前歯が出ているといった歯並びは、永久歯に萌え変わった後でも矯正歯科治療は問題なく可能です。小学生低学年で治療をしないと、永久歯に萌え変わった後で治療不可能になるといったことはありませんので安心してください。